背骨は「まっすぐ保つ」ものではありません
- 聡範 藤原

- 2 日前
- 読了時間: 3分
― 動くことで、身体を支える大切な役割 ―

「姿勢を良くしましょう」「背筋を伸ばしましょう」
こうした言葉を聞くと、背骨は まっすぐ固定して支えるもの というイメージを持つ方が多いかもしれません。
ですが実際の背骨は、固めて支える構造ではなく、動くことで身体を支え、衝撃を吸収する構造 になっています。
この考え方は、身体の不調を見直すうえで、とても大切なポイントになります。
背骨は「一本の棒」ではなく、連なった構造
背骨は、首から腰まで一本につながって見えますが、実際には小さな骨が積み重なって構成されています。
そのため、前に曲がる後ろに反る左右に倒れるひねるといった動きが組み合わさり、日常動作を支えています。
歩く、しゃがむ、立ち上がる、振り向く。
これらの動作は、背骨が部分ごとにしなやかに動くことで、無理なく行えるようになっています。
背骨の「動き」が失われると、どうなるか
長時間同じ姿勢が続いたり、動きのクセが偏ったりすると、背骨の一部が動きにくくなります。
すると身体は、動かない背骨の代わりに、他の関節や筋肉を使って動こうとします。
この状態が続くと、肩・腰・膝など、特定の場所に負担が集中しやすくなります。
「痛いのは膝なのに、原因は別の場所だった」というケースが多いのは、こうした身体の代償動作が関係しています。
「姿勢を良くしようとして疲れる」理由
姿勢を意識すると疲れる。頑張らないと良い姿勢を保てない。
こうした感覚がある場合、姿勢の問題というより、背骨がうまく動いていない可能性 があります。
背骨が本来の動きを取り戻すと、姿勢は「作るもの」ではなく、自然と整いやすくなります。
・立っているのが楽になる
・呼吸がしやすくなる
・動き始めが軽くなる
こうした変化を感じる方も少なくありません。
背骨が動くことは、衝撃を吸収すること
背骨のもうひとつの大切な役割は、衝撃を吸収すること です。
歩いたときや立ち上がったとき、地面からの衝撃は身体に伝わります。
背骨が動くことで、その衝撃を分散し、特定の場所に負担が集中するのを防いでいます。
背骨の動きが少なくなると、この衝撃吸収がうまく働かず、膝や腰などに負担がかかりやすくなります。
大切なのは「固める」ことではなく「動ける状態」
背骨を整えるというと、鍛えることや、無理に伸ばすことをイメージする方もいます。
ですが本当に大切なのは、必要なところが、必要な分だけ動ける状態 をつくることです。
背骨全体が均等に動くことで、身体は無理なく支え合い、不調を繰り返しにくくなります。
もし、こんな感覚があれば
・姿勢を意識するとすぐ疲れる
・動き始めが重たい
・呼吸が浅い気がする
・どこが悪いのかわからない不調が続く
こうした感覚がある場合、背骨の動きが関係している可能性があります。
背骨を知ることは、身体を知ること
背骨は、身体の土台であり、動きの中心です。
痛みがある場所だけを見るのではなく、身体全体のつながりとして背骨を見直すことで、「なぜ不調が出ているのか」が見えてくることがあります。
これから先も、安心して動ける身体でいるために。
一度、ご自身の背骨の動きに目を向けてみてください。



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