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歳をとると筋肉痛が2日後に来るのは何故か

筋肉痛遅くなってない?



「久しぶりに運動したら、翌々日にドーンと痛みがきた」

「若いころは次の日だったのに、最近は2日後・3日後になってきた」

 

そんな経験、ありませんか?

 

これ、あながち気のせいではありません。加齢と筋肉痛には、ちゃんとした理由があります。

  


筋肉痛ってなぜ起きるの?

 

まず大前提として、筋肉痛のメカニズムは「まだ完全には解明されていない」というのが正直なところです。

 

かつては「乳酸が溜まるから」と信じられていましたが、現在の研究では乳酸は筋肉痛の原因ではないことがわかっています。

 

では何が原因なのか。現在もっとも有力とされているのは、次のような流れです。

 

① 運動で筋肉の繊維が微細に傷つく

② 傷ついた部分を修復しようと、体が炎症反応を起こす

③ 炎症によって「痛みを引き起こす物質」が出てくる

④ それが周囲の神経を刺激して、痛みとして感じられる

 

この一連の流れに時間がかかるため、運動した直後ではなく「数時間〜数日後」に痛みがやってくるのです。これを「遅発性筋肉痛(DOMS)」といいます。

 

 

研究データより|乳酸の蓄積は遅発性筋肉痛(DOMS)とは全く関係がないことが現在の研究で明らかになっています。

出典:CONTRÒ V, et al. Trends in Sport Sciences, 2016

 


 

なぜ「2日後」に来るのか

 

筋肉痛が翌日ではなく2〜3日後に現れる理由は、主に「運動の種類」と「強度」に関係しています。

 

特に痛みが出やすいのが、筋肉が伸ばされながら力を発揮する動きです。わかりやすい例をあげると…

 

・階段を下る

・坂道を下る

・スクワットでゆっくり腰を落とす

 

こういった動きは、筋肉に大きなストレスをかけます。このとき生じた微細な傷への炎症反応と、痛み物質が神経に届くまでのタイムラグが積み重なって、「2日後」という遅れにつながります。

 

また、運動強度が低いほど痛みの発生はゆっくりやってきます。強い運動は翌日、弱めの運動は2〜3日後——というのはこのためです。

 

 

研究データより|国際医学誌に掲載されたレビュー論文によると、遅発性筋肉痛(DOMS)は「筋細胞の超微細な損傷」を主な原因とし、その後の炎症反応によって痛みが引き起こされるとされています。損傷は運動直後に起きていても、炎症と痛み物質が神経に届くまでに時間がかかるため、痛みの発症が遅れます。

出典:Hotfiel T, et al. Sportverletz Sportschaden, 2018

 

 ここが本題。なぜ加齢で「さらに遅く」なるの?

 

若いころは「翌日」だった筋肉痛が、歳をとると「2日後・3日後」になっていく。これには3つの理由があります。

 

 

理由① 修復のスピードが落ちる

 

筋肉が傷ついたとき、体はすぐに修復作業を始めます。この修復を担っているのが「サテライト細胞」と呼ばれる、筋肉の幹細胞のようなものです。

 

ところが加齢とともに、このサテライト細胞の働きが弱くなります。修復が遅くなる分、炎症が長引き、痛みが出るタイミングも遅くなるのです。

 

また、血流の変化も影響します。若いころは炎症部位への血液の流れが早く、修復に必要な物質が素早く届きます。加齢とともに血流が低下すると、その「運搬」も遅くなってしまいます。

 

 

研究データより|複数の論文で、加齢により損傷した筋細胞を修復するサテライト細胞の働きが緩やかになること、また血流変化により炎症部位への物質の運搬が遅れることが指摘されています。これが筋肉痛の発症タイミングのズレに関わると考えられています。

 


 

理由② 炎症反応のスピードが変わる

 

体の中には「炎症を調整するシステム」があります。若いころはこのシステムが素早く機能し、ダメージを感知したらすぐ炎症反応が起きます。

 

ところが加齢とともに、この炎症反応が起きるまでのスピードが変化します。じわじわとゆっくり炎症が進むようになるため、痛みとして感じるタイミングも後ろにずれていくのです。

 

 


理由③ 普段の運動強度が下がっている

 

これが実は、もっとも見落とされがちな理由です。

 

「歳をとったから筋肉痛が遅くなる」と思われがちですが、純粋な加齢による遅れ以上に「運動強度が低くなっていること」の影響が大きいという指摘もあります。

 

若いころは無意識に強い運動をしていたので筋肉痛が早く来ていた。歳をとるにつれて運動量・強度が落ち、弱めの負荷での運動が増えた。その結果、痛みの到来がゆっくりになっている——ということです。

 

「加齢のせい」だけでなく「動き方が変わったせい」でもある、というわけです。

 

 


研究データより|遅発性筋痛が起きるタイミングには、年齢差よりも個人差・運動習慣・運動の種類や強度による違いが大きいとされています。加齢によって筋力が低下すると激しい運動を避けるようになり、低強度の運動が増えることで筋肉痛の発生が遅くなる、という見方もできます。

 

 

「2日後に来る筋肉痛」は悪いことじゃない

 

ここまで読んで「なんか体が衰えてきているみたいで嫌だな」と感じた方もいるかもしれません。

 

でも、筋肉痛が来ること自体は「筋肉が成長しようとしているサイン」です。

 

筋肉は傷ついて修復されるたびに少しずつ強くなります。2日後に来る筋肉痛も、体がちゃんと働いている証拠です。

 

むしろ心配なのは「まったく筋肉痛にならない」こと。同じ動きを繰り返していると体が慣れて筋肉痛が起きにくくなります(これを「繰り返し効果」といいます)。これは体が適応している証拠でもありますが、同時に「その刺激ではもう筋肉が成長しない」サインでもあります。

 


 まとめ

 

・筋肉痛は「筋肉の微細な損傷 → 炎症 → 痛み物質が神経を刺激」という流れで起きる

・痛みが遅れてくるのは、この一連のプロセスに時間がかかるから

・加齢で遅くなるのは、修復細胞の低下・炎症反応の変化・運動強度の低下という3つが重なるため

・筋肉痛は成長のサイン。遅くても来るなら、体はちゃんと応えている

 

「最近、筋肉痛が遅くなってきたな」と感じたら、それは体の変化に気づくいいきっかけです。今の自分の体のペースに合わせながら、うまく付き合っていきましょう。

 
 
 

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